ギルドワークスのなかにはいったいどんな人がいて、いま何を考えているのか…メンバーのリアルな姿をインタビューを通してお伝えします。
第一回目は、ソフトウェアエンジニア兼プロダクトオーナー見習いTakahashi Toshiakiが登場。時節柄、リモートでじっくり語ってもらいました。(2020年6月取材)
犬の散歩から運命の出会い
--まずはかんたんに自己紹介をお願いします。
Takahashi Toshiaki です。Devtab上での表記と統一するため、氏名は英字表記でお願いします。いま35歳で、神奈川県在住です。ギルドワークスではソフトウェアエンジニア兼プロダクトオーナー見習いをやっています。
--ギルドワークスに参加する前はどんなことをしていましたか?
大学の情報通信工学専攻を卒業して、新卒でSIerに入社しました。そこは会社を数年で辞めて、サービス開発や海外のスタートアップ企業などを経験し、参加した時期には金融系のスタートアップでSREをやっていました。
--ギルドワークスを知ったのはいつ頃、どんなきっかけでしたか?
前代表の市谷さんと知り合いだったので、ギルドワークスの存在は創業のタイミングから知っていました。
12年ぐらい前、新卒で入った会社にいた頃「もっと外の世界が見てみたい」と思って、いろいろな勉強会に積極的に参加していました。市谷さんと知り合ったのは、彼が主宰していたイベントに参加したのがきっかけでした。
--ギルドワークスに参加したきっかけはどういうものだったのですか?
市谷さんが割と近所に住んでいるのは以前から知っていたのですが、知り合いと言っても親しくなくて、イベント主催者と参加者出るからこちらは知っていたけどあちらは覚えていないみたいな…でも昨年、たまたま犬の散歩で近所を歩いていたとき、市谷さんを見かけて「あっ!」と思わず声をかけました。その日に2人で飲みにいって色々話して、ギルドワークスの自社サービスの開発をサイドプロジェクトとして手伝うことになりました。
--まずは副業的に参加されたんですね。
当初は私も会社に所属していましたし、ギルドワークスは採用が慎重というか、半年くらい一緒に仕事をやってみて、メンバーになるかどうか決めるというものなので。
(参考記事:学び、経験して、一人前を目指すハイレベルな場 〜 新人・越にとってのギルドワークス 〜)
プロダクトオーナー見習い業
--ギルドワークスに入社して1年くらいとのことですが、現在はどんな仕事をしていますか?
エンジニアとしてクライアントワークで開発をしているほか、自社サービスであるGuildHubの開発、プロダクトオーナー(以下PO)見習い業をやってます。もともと市谷さんがGuildHubのPOだったんですが、彼がギルドワークスを離れるタイミングで、私が引き継ぎました。
--PO見習い業とはあまり聞いたことがありませんが、どうして「見習い」なのですか?
GuildHubのPOとして、プロダクトの全体の方向性を質を高めていく、という仕事ですが、私はまだできていないところも多いので、とりあえず、見習いと名乗ってます。特に師匠がいるわけではなく、自分で勉強しながらやっています。
--まだできていないところ……POの難しさはどんなところにあるのですか?
プロダクトマネジメントトライアングルというPOが関心を持つべき分野を示した図があるんですが、見ていただくと分かるとおり、ビジネス周りとか、運用とか、プロダクトに係わる全てで、世のPOってこういうところ全部に関心を持ってやっているけっこう大変な仕事です。自分自身でこれらを全部やれなくてもいいんですが、各分野の専門家たちと協業しながら全部をこなしていく、専門家とやり合うには、多少は浅くても関心と知識がないとダメで、私は好奇心や関心はあるものの、知識がまだそこまで備わっていない、言葉だけ知っている、という状態ですかね。
--経営者のような視点が求められるんですね。
そうですね。同僚の現場コーチの中村は「POはミニCEOだ」と言っているくらいですから。POが見るのはひとつのプロダクトの範囲ですが、経営陣は自分の会社にあるプロダクト全体をこういう価値観で見ているんだろうなと思います。
--Takahashiさんはエンジニアでもあるんですが、全体を俯瞰する立場のPOと、エンジニア仕事との両立って、矛盾することはありませんか?
矛盾はしないですね。いろんなプロダクトづくりがあると思うんですが、エンジニアがなぜ必要なのかというと、プロダクトを作るため。つまり問題があって、その問題を解決するためです。
エンジニアの仕事はコツコツブロックを積み重ねていくような作業なのかも知れないですが、そのブロックを積み上げる方法はいくらでもあります。自分でブロックを積み上げずに、すでに積み上がったものを使う、いわゆるノンコーディング、コード書かなくてもプロダクトを作るという手段もあるんですね。エンジニアリングはプロダクトづくりにおける手段ですが、奥が深い領域でなので、ただの手段だとかんたんに言えるものではありません。その広い領域から、ベストな手段をピックアップできたらいいと考えています。
--GuildHubはどんな方に、どんな風に使っていただきたいですか
GuildHubはPO向けのツールではあるんですが、POがどういう思考でプロダクトについて仮説を立てて組み立てているのかのを、ひとつのキャンバスで表しています。それを通して係わる人が共通の認識を持てるというのが強みなので、POだけでなく、エンジニアや顧客、POを支援する立場の人など、プロダクトづくりに関心がある人全員が使う価値があるツールだと思っています。
プロダクト開発に対する価値観が変わった
--ギルドワークスに参加して良かったのはどんなことですか?
良かったことは、プロダクト開発に対する価値観が変わったことですね。「正しいものを正しくつくる」をミッションに問いを持ってプロダクト作りに向きあう、仮説検証アジャイル開発という仮説のもとに作り、検証を小さいサイクルで回して正しくないモノを作らない、という価値観に変わったことです。
プロダクトづくりでは全体を見る必要があります。顧客がどう考えているかだけでなく、その先のユーザーがどう考えているか、そもそもプロダクトづくりのアイディアが仮説で、これから作るものが実際にうまく使われるか分からないわけですよね。そこで仮説を立てて、その仮説を検証するためにものを作る、っていう感覚に変わりました。
--参加する前と比較するとどうでしょうか?
参加する以前は、漠然と「ある問題を解決をするためにものを作る」というとらえ方だったんですが、それが仮説のもとにものを作るという発想、価値観になりました。仮説がある、イコール、検証してそれが使われるか、どう使われているか、というとことの見極めが必要で、その後に振り返って「これはよかった」「これはダメだった」「じゃあどうする」みたいなサイクルを回すのがものづくりだ、というのをギルドワークスに入って知ったのは大きいですね。前職ではそこが自分の責任だという感覚もなかったので、誰かが担っていて誰かが解決してくれる、とどこかで思っていたかもしれません。
--責任範囲が広がったことにマイナスの感覚はありませんでしたか?
マイナスはないです。そこに責任が伴うというより、関心事が増えた、関心がない状態ではダメで、自分が気を配らないと、と気づいたという感じですね。ものづくりの視野が広がって、面白さは増えたかも知れないですね。
--どうして視野が広がっていったのですか?
視野というか関心事を広げていくというのは、パッとできたわけではありません。10年以上ソフトウエアエンジニアというロール(役割)に縛られて、自分で自分の見る範囲を狭めてやってきてたのですから、言われて「必要だな」と思っても、そんなかんたんに転換することはなかなかできなかった、というか難しかったですね。
GuildHubというサービス自体が、仮説キャンバスを作って、その上で仮説を立てて、それをみんなで検証していくなかで、プロダクトづくりに係わる人全員にそういう価値観を持つようにうながす製品なんですね。それを他のメンバーと一緒に作っていくなかで、市谷さんの本を読んだり、それぞれの立ち振る舞いを見て、徐々にそういう価値観が徐々にしみこんできた感じです。「なんでこれが必要なんだろう」という問いを持って、自分自身で体験していって、だんだん理解して変化していきましたね。
--姿勢が変わることで、仕事の質も変わりましたか?
自分のロールに閉じていた頃だったら、たぶん問題が自分の領域に侵害してこない限り動けなかっただろうと思いますが、今はソフトウェアエンジニアというロールで開発をしている場合でも、関心事が広がっている状態なので、物事に気づきやすいというか、関係する人の感じている課題に早く気づいて先回りする、みたいなことをしやすくなったかなと思います。自分の領域以外のところに課題があったら、自分の専門性を持ってそこをあらかじめ押さえにいける、みたいなことが自然とできるようになったという気はします。
自分の生活のリズムを仕事に組み込む
--ギルドワークスに参加して、予想外だったことはありますか?
全員フルリモートなので、組織というより個が自立して動く組織だという印象を受けました。
--Takahashiさんは、何時から何時ごろに働いているのですか?
仕事をするのは平日のだいたい9:00~16:00と20:00~23:00ごろ。子どもがまだ小さいので、夕方から夜の時間は家族の時間にあてています。
--フルリモートのメリットとデメリットはどのように感じていますか?
メリットは、時間に融通がきくので子育てと仕事の両立がしやすいことですね。移動時間がないので、自分の生活のリズムを仕事に組み込むことができる、と同時に、必要があれば仕事に集中できます。
デメリットはあまりないんですが、言語化できていない課題を解決するのに時間がかかる、というところです。例えば、オフィスで近くに座っていたら、問題があったらすぐ議論をしたりホワイトボードに図示したりして、短時間で意志疎通ができると思うんですが、リモートの場合は時間をあわせる手間がかかったり、ホワイトボードがあるわけではないので、見える化が難しかったり、意志疎通の難しさはありますね。
ただこのコロナの時期は、みんながリモートなので時間の同期が取りやすいというのはありました。あと、リモートでもホワイトボードに変わるような、リアルタイムで図示しながらコミュニケーションできるmiroとか、Jamboardなどのツールを使うことで、けっこう解決できている部分はあるかなと思います。
--リモートで仕事をする上で気をつけていることは?
slackとZoomでミーティングをするというのが多いので、自分の考えを言語化すること、それと同時に人のアウトプットを丁寧に、早い段階で読み取るということです。
お手伝い期間の半年で体感したことですが、リモートワークで仕事をしていると「こういうものを作りたいんですよね」という漠然としたアイディアの話があって、それを具現化して出したときに「あれ? こういうのを期待してたんじゃないんだよね」ということが何度かありました。もし、もっと早い段階で「こういうことですよね」というイメージをを言葉や図できちんと示して「自分はこう理解しているんですよ」というのを出してあげる方が手戻りが少なかった。自分の考えを早い段階で言語化して図示して伝えるというのが大事なんだなと思いました。
プロダクトづくりの方向を変えていきたい
--最後に今後の目標や展望を教えてください。
GuildHubというツールを作っていく過程で、プロダクトづくりという行為に対して自分の価値観は変わったのですが、まだ、以前の自分が持っていた価値観と同じように、自分の範囲しか見ていない人はけっこういます。そういう人たちに対して、自分の専門性を駆使して粘り強く困難な状況に向き合い社会や人に感動を与えていきたいですね。
プロダクトづくり全体に向き合える人がどんどん増えていったら、日本とか世界中でうまくいっていないものづくりを減らせるという気がするので、将来は、受託開発、サービス開発に限らず、世の中のプロダクト作りの方法や考え方を変えていきたい。従来のように受託でシステム開発をしてブラックボックスのまま納品されるプロダクト作りではなく、ソフトウェアを育て、ビジネスや人も共に成長する世界を広めたいと思っています。
インタビュー・構成:曽田照子
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