要約力、重要
何かを誰かに伝えるために、内容を要約するというのは基本的なことですがとても大事なことです。「要約力重要!」というのは、増田もかねてから発信していることであります (ドメイン駆動設計の基本を理解する)。ギルドワークス内でも、折にふれて要約の大切さを説いています。
要約がされていない文章は、 長くなるか、要点を得ないか、あるいはその両方 が形となってしまいます。ソフトウェア開発では様々な文書が書かれますし、人に何かを伝え共通理解を醸成することがプロジェクト仕事、チーム仕事を進めていく上での、要となります。
また、開発チームが同一拠点に同席しない、リモートワークにおいてはテキストでのコミュニケーションがベースになります。まさしく要約して、分かるように伝えることが仕事の基本にあるといえます。
要約力を高める2つのこと
では、どうすれば要約力を高めることができるでしょうか。これは様々な考え方や工夫があると思います。私は以下の2つをあげることとします。
・文章を短くする
・丁寧に表現する
2つです。要約力を高めるn箇条とあげたところで、日々の実践で意識するには多すぎます。時間もかかります。スピード感を求められる現場で、一つの文章を書くのにやたら時間をかけていては、仕事になりません。
「文章を短くする」「丁寧に表現する」簡単ですね!出来る限り、文章の塊を小さくするようにする。そして、言葉を端折らず、丁寧に表現する。これが、言葉ほど簡単ではありません。そもそも短くすることと、丁寧にすることが、一見矛盾しています。
短くするならば、ショートカット的な表現を使いたいし、丁寧に書こうとするならば文章は長くなります。短く書きすぎると、何を言いたいのか分からない。丁寧に書きすぎると、冗長すぎて読めない。
いきなり、上手く要約した文章を作れるようになろうとしても、難しいでしょう。何度もまとめてみて、他の人の反応を見ながら調整する。繰り返す中で、体得するのが近道です。ただ、意識的に取り組めば、それほど時間がかかることでは無いと思います(おそらく)。
用語集があればよいか
要約の助けのために、言葉を予め決めておくというアプローチもあります。そのための手段が用語集づくりです。用語集は、あると便利です。プロジェクト仕事、チーム仕事として早期に共通認識化するためには、重要な言葉を残しておくべきです。
ただし、用語集があれば完璧、ともいえません。用語集自体がどこにあるのかが共通認識になっていないと、そもそも誰にも引かれません。誰にも引かれない用語集は、メンテされません。メンテされない用語集は、役に立たなくなりやすい。何よりも、用語集を引かずにその場で読んで理解できるほうが、仕事が捗ります。やはり、根本的に要約力を高めるという訓練が必要です。
ユーザーストーリー
要約力を高める良い訓練になるのが、 ユーザーストーリー です。「◯◯として、〜したい。なぜなら、△△だからだ」という3段構成で要求をまとめる、小さな文章のことです。要求こそ、関係者の共通認識が求められ、上手い要約が必要となる概念です。ユーザーストーリーがあいまいに表現されていては、その後に続く会話も混乱しますし、後から読んでも要領を得ないことでしょう。
ユーザーストーリーとして、要求を表現したり、読み解いたりするのは、開発プロジェクトで何度も遭遇することです。ユーザーストーリーにしてみて、誰かに読んでもらい、理解が得られるかどうか。要約の良い訓練となるでしょう。
なお、ユーザーストーリーとは何か、それを用いた開発については別途まとめていますので、ご参考までに。
ユーザーストーリー駆動開発でいこう。
未来の自分のために、要約する
要約は、人のためにならず、です。結局、時間軸の少し先にいる自分自身も、自分の文書を読むことになる 他人 です。時が立てば、何のことかすっかり忘れていることも珍しくありませんね。もしかしたら、要約が、チームと未来の自分を救うことになるかもしれません。
Photo credit: maxime.dehaye via Visualhunt.com / CC BY-NC-SA
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