ギルドワークス市谷です。
新しい事業、あるいはそれを実現する新しいサービスを立ち上げる。企業においてであれば経営企画部や新規事業創出室といった組織の一員として、あるいはその上席者としてこのミッションに取り組むにあたり、どのようなアプローチが求められるでしょうか。正解のない状況において、それでも前に進んでいくのに頼りになるのは「隙のない計画」ではなく「仮説検証」のアプローチです。
ここ数年「顧客開発」や「リーン・スタートアップ」という考え方が示されるようになり、仮説検証という言葉自体には馴染みがあるかもしれません。しかし、何らかのアイデアの種やテーマはあるとして、それらをもとに具体的にどう進めていくか、自信をもって臨める方はそう多くはないと思われます。以下のような問いに答えられなければならないでしょう。
①アイデアの種やテーマから、どのように仮説を立てるべきか
②立案した仮説をどのようにして検証するべきか
③実際に検証を行なう(行えるのか)
④検証後の評価をどのように行なうか
⑤検証結果を踏まえて、MVP(Minimum Viable Product : 実用最小限の製品)のスコープをどう置くか
いずれも知見、経験が無ければ太刀打ち難い課題です。しかも、⑤において規模の見立てのためには、ソフトウェア開発の経験も求められます。ギルドワークスでは、様々な領域においてこのような「仮説検証を如何に進めるべきか」のご相談を受け、そのプロセスのデザインと進行そのものを引き受けてきました。この活動を私たちは価値探索(Experiment for Evaluation : 価値を見定めるための実験)と呼んでいます。
価値探索からMVPの開発へと繋ぎます。そのために、価値探索のフェーズの最後には「何をつくるべきか」をあらわすバックログ(要求)を見立てます。この活動に「顧客開発」でも「UXデザイン」でもなく「価値探索」と別の名前付けをしたのは、ある特定の道具立てのみに依ることなく、アイデアやテーマの内容と状況に応じて道具を選んでいるためです。
ベースとなるプロセスは顧客開発、道具立てはUXデザイン等の引き出しから用いることが多いです。価値探索の中心となる道具・タスクは、リーンキャンバスをベースとした一枚絵(コンセプトを立てる、練る)、ユーザーインタビューや観察(現状の課題やニーズを掘り起こす)、サービスブループリント、ユーザーストーリーマッピング(提供する価値を想定する)、概念モデルやユーザーストーリー(新サービスのバックログを抽出する)等になります。
なぜ、ギルドワークスとして価値探索を提供しているのか
私たちは「正しいものを正しくつくる」ことをミッションとしておいています。正しいものを探求し、正しくつくる。この「正しいものを探す」とは「何か絶対的に正しいものがありそれを定義しよう」ということではありません。事業にせよ、サービスにせよ、何らかの目的があり、その目的を達成するための「課題設定と課題の解決策を見定めるための実験」にあたります。
価値探索フェーズはゴールではありません。仮説立案からMVP開発、MVPによる検証を経て、プロダクトをより充実させていくか、もしくはプロダクトのコンセプトそのものを練り直すべく再び価値探索を試みる、といったサイクルを回していくことになります。いずれにしても、最初の検証で全てを中止するのでなければ、その後プロダクトを育んでいく仮説検証が続いていくことになります。ゆえに、最初の仮説立案に多くの投資を割くのは得策とはいえません。
数百万円をかけてただ見栄えのよいプランを重たく作るくらいなら、素早く立ち上げ、仮説検証のサイクルを何回も実施し実験することを目指した方が、分が良いでしょう。私たちの価値探索でも、10日ほどの実働を2週間〜3週間くらいで行なうことで、スピードと投資額の両面から後続のプロダクト開発の負担にならないようにしています。プロダクト開発にいくらでもお金は必要になります。最初の仮説立案は短く、軽やかに済ませて、後々に資金を残すべきです。
「はじめての仮説検証」と「年間30以上の多様な仮説検証」
仮説検証による新規事業をこれまで何回実施されてきたでしょうか?2回、3回でしょうか。「重要な新規事業を進めるにあたり外部の力を借りるのは如何なものか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、新規事業自体そう何度も経験できるものではないことを考えると「はじめての仮説検証」で臨むのと「年間30以上の多様な仮説検証」を引き受けてきた私たちのような存在が力添えするのとでは、どちらが分が良くなりそうか。新規事業が貴重で重要だからこそ、臨む作戦は慎重に考えたいところです。
多くの新規事業、新サービスは人や社会の状況を変える可能性に他ならないと考えています。特定の領域(ドメイン)に知見がある方に、私たちは実践に基づく仮説検証のプロセスを提供することで、その目的を果たしたい、新たな価値を共創したい、その思いで私たちは価値探索を行っています。
価値探索について詳しくお聞きになりたい方はこちらまで。お問い合わせ下さい。
※注意:この記事は2015年6月2日にGuildWorks Blogで公開したエントリをリライトしたものです。
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