ギルドワークスが何のために、どんなことをしているのか、その根底にはどんな思いがあるのか。
代表の市谷がインタビューに答えました。
「正しいものを正しくつくる」を実現していく集団
-まずはじめに大きな質問ですが「ギルドワークスとは何か?」を教えてください。
市谷:「正しいものを正しくつくる」というミッションは明確に決まっています。これは今後も変えません。ギルドワークスは「正しくつくる」を実現していく集団であることと、「正しいもの正しくつくる」が具体的に関係者に価値が生むことを目指しています。
-でも「正しさ」って、人によって違うし、時代や場合によっても変わりますよね?
市谷:そうなんです。顧客の状況、狙い、やりたいこと、あるいはサービスを利用するユーザーの状況、また我々自身が今どこまでできるか。そういう色んな要素があってソフトウェアを作っている。その時々で何が一番良いのかは変わっていきます。だから「正しいものを正しくつくる」を掲げることで、逆に我々に突きつけられるのは、常に変えて行くことなんですね。
逆にいうと「これでしかやらない」とか「このやり方が一番正しいんだ」と思い込まないために「正しいものを正しくつくる」と言っています。
-どういう経緯でギルドワークスを立ち上げるに至ったのですか?
市谷:「正しいものを正しくつくる」に向かうためには、自分たちで会社を立ち上げなきゃいけない、と思ったんですね。
間違ったものを間違いながら作っていたり、アジャイル開発をちゃんとやれてる風だけど、そもそもユーザーに見向きもされないものを作っていたりみたいな「間違ったものを正しくつくる」ではなくて。
-「正しくないもの」を「正しく」あるいは「正しくなく」作ってると、どういうことが起きるんですか?
市谷:虚しさですかね。
-「正しいものを正しくつくる」ができていない現場では、人々は虚しさを感じながら働いている?
市谷:自分のやっている仕事を、どう捉えているかによるでしょうね。
自分の生み出したものを誰かに使われて「よかった」と思われることが仕事だと定義するならば、それを実現できないと幸せとは思わないでしょう。別に「お金稼げたらいいや」というのを否定するつもりもありません。でもそれだったら「正しいものを正しくつくる」なんて目指さなくてもいいかもしれません。
また「正しいものを正しくつくる」を目指すと、「誰かの言うことが正しいから、その通りに作ろう」っていうのが成り立たない。なぜなら、その人が正解を持っているわけではないので。となると、「こういうものを作った方が良いだろう」と、目的のもとで何を実現したら良いかを中心に置いた開発をしないといけないんですね。
-みんながどこに向けて進んで行くか、目標設定が肝心ということですよね。
市谷:極論を言うと、目的のためならクライアントの言っていることに反対したり、自分の会社の方針と違う活動をしないといけないかもしれない。
例えば、受託開発会社は開発の規模を稼ぐことがビジネスを広げることなので、たくさん作るという力学が働きやすい。でも目的から考えたら、たくさん作ることが必ずしも正しくない場合、会社の方針と違うことをやらなきゃいけないこともある。そんな判断は開発会社のいち所属メンバーでは難しい。会社の方針から飛び出して「いやこれはやめた方がいい」と言える位置にいないと言えない、となると、そのビジネスに対して責任を負わないといけない。なので、自分たちで会社を立てて自分たちで背負う、という道を選んだわけです。
-目標に対して、視点がどこにあるかが問題ですね。
市谷:視点の高さって様々なんですね。期間の決まったプロジェクトの視点なのか、プロジェクトより上のプロダクトの視点なのか、プロダクトのさらに上の事業みたいな高さでの判断なのか、さらに上の組織みたいな視点があったりとか、ミルフィーユじゃないけどかなり階層があります。その視点の移動を意識的にやれる人や、やろうとする人は少ない。けれど、それが求められているし、それができてこそ「正しいものを正しくつくる」に近づけると思っています。
-ギルドワークスさんが繁盛しているということは、視点を移動できる人が必要とされている?
市谷:視点を移動でき、かつ現場で考えてくれる人に、多くの人は、そんなに巡り会えていないんでしょうね。
-どうすれば視点の移動ができるんでしょうか? 市谷さんご自身は、どうやって視点の移動を獲得されたんですか?
市谷:どうすれば視点を移動できる人になれるのか、結構難しいですね。ひとつは「正しいものを正しく作りたい」っていう思いがあったんですよね。
「正しいものを正しくつくる」ためには、開発しながら「今作ってるものはこれでいいんだっけ?」と疑問に思わないといけない。その疑問の答えが「ダメ」だったら「どうあれば良い?」と考えていくと、自ずと視点を上げていくしかない。プロダクトそのものを定義し直さなければならない。となるとすごい選択肢が広がってくるんですが、事業の目的まで立ち返った時に、いま目の前にあるプロダクトはこう変えないといけない、あるいは違うプロダクトを作らないといけない、みたいな判断できるようになるという感じですかね。
プロダクトを作って提供するというのは誰かの問題を解決することですから、問題解決が進んでこそソフトウェアを作ってる人の職業としてのミッションですよね。
経験値を積み、仮説検証を大切に
市谷:ギルドワークスは、すでに存在しているビジネスのソフトウェアを作るというより、今までにないもの、スタートアップやベンチャー、あるいは大企業・中堅企業のなかで新規事業を立ち上げる方々のご要望にお応えすることが多いです。ですから、すごく不確実性の高い仕事ですよね。「本当にそんなユーザーがいるのかな?」とか「そのユーザーの問題解決できるのかな?」とか、ある意味、何もわからない中で確かめながら作るものを決めて、プロダクトとして最終的に仕上げていく。
-この3年間で経験値を積んできて、何かが変わってきたというのはありますか?
市谷:常に変わっていますね。一番大きいのは、まず半端なく数をこなしていること。大小ありますが年間100件を越える仮説検証・開発案件を回しています。
大企業は別にすると、新規事業って年にひとつかふたつ、その担当者も1人か2人ですね。何百人いる組織でも、立ち上げを経験をしている人は毎年1人、その人もだいたい未経験、3回失敗し続けると次は多分ない。経験値が全然溜まらないのに、企業は新規事業をどんどん回していかなきゃいけない。
僕らは別軸で、いろんな企業の新規事業に関わることで、いろんな試みを他の人よりも多くやってるんですよ。経験数は企業にいる1人の人が関われる新規事業の数を遥かに凌駕しているんですね。それが直接的にどこかに活きるというより、ある事業をやった結果わかってくること、例えば「大学生はこういう状況でこういう行動が取る」とか「主婦はこういう時にこういう行動を取る」とか、相当な蓄積が別の新規事業に活かせる。時間が経つにつれて、蓄積がさらに増えてきているのが、ギルドワークスの本当の強みなんだろうなって思ってます。
-うまくいっている例だけではないんですね。どんな失敗がありますか?
市谷:抽象的な話ですが、やっぱり人の行動を変えるのは難しいんですね。人の行動が変わることを織り込んだようなプロダクトは相当うまくやらないと大抵失敗するんですよ。
初期にはそこが外れることはありましたね。やっていくうちわかったんですが、人ってある意味怠惰で「自分の行動を常に変えたい」と思っているわけではないですし、めんどくさいことはやりたくない、というのが普通だと思うんです。そういう傾向に対して「新しい試みだから」って行動を変えようとしても、本来的なところと噛み合ってない。
-ダイエットが失敗すると同じ原理でしょうか(笑)?
市谷:同じかもしれませんね。こうありたいという理想像はあっても厳しいことはやりたくない、というのと似ていますね。
「正しいものを正しくつくる」のために、正しさを固定せず、これでいいのかに問いかけながら、仮説検証をもとに考えるというスタンス。それを貫くには困難がつきまといます。後半では市谷が、ギルドワークスがその困難をどう乗り越えているのかを語りました。
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